PEOPLE ERROR

自分の人生の中で自分以上に模範になる人間っていると思いますか?
自分の中ではいつも自分しか正しくないと思いませんか?
何もかもが馬鹿馬鹿しく見えたこととか、絶望したときに、貴方はどう立ち上がりましたか?


終わらせるってどういうことかが分からなかった。自分の命とかの話ではなく。周りのこと。沢山のこと。
わたしは常に理路整然としていなければいけないとおもって生きている。ひとに説明を求められたときにすぐ回答出来るような。行動原理を明確にしておくべきだと常々思ってる。迷わないためにも。
突き詰めて考えすぎる癖があるからいつもわたしは自分が正しいと思ってるし、変な話、実際そう。万が一間違った行動を起こしても殆どの場合自分の力で自分自身を矯正してきた。いいからわたしに従っていればいい。わたしが言うことに間違いはない。わたしは間違ったことは言わないし感情論で話さない。皆言わないけど分かってる、自分には自分の正義があるし間違いを認めたくない自分自身がいる。

わたしはそれを分かりやすく表面化しているだけなんだけど、たまに自分のことを冷たいとか独裁主義とか思うときがあるし、実際母親には言葉は違えど同じようなニュアンスのことを言われた。
アドラーとかニーチェってよりも、ショーペンハウアー的な思考」だと。今日言われた。ほんと言うと、心理学は少し齧ったけど哲学については全く詳しくない。ショーペンハウアーアドラーニーチェも名前とちょっとした名言(格言)くらいしか知らない。どんな人間かあとで調べてみようとおもう。

わたしは冷たい。自分でもそう思う。わたしが言うのだから間違いない。酷く冷たくて自己中心的な人間だと思う。でも母親は「そんなことない」と言う。「ただひたすらに冷静なだけだ」と。でも常識を逸した冷静は、冷静とは言わない。最早冷徹。血が凍ってるんじゃないかと思う。
ヒミズの住田みたいなこと言うけど、例えば、もし今この瞬間にトラックが家に突っ込んできても、わたしは取り乱さずに落ち着いて救急とパトカーを呼ぶことが出来ると思う。どんな時も感情より先に理性が勝ってしまう。わたしがこうなった原因は、母親も認めているんだけど、わたしの人格形成の途中に精神疾患で不安定で男に逃げた母親にある。
わたしのことを生まれて初めて裏切った人間は、母親だった。

痛がって泣いていても誰か助けてくれる訳ではないから、誰も声をかけてくれないから、アクションがないから、感情よりも先に解決策を見付けることを覚えた。現状を嘆くことに大して意味は無い。片付ければいい。一つ一つ着実に、落ち着いて、冷静に。少し考えれば誰にだって出来ることだと思う。

そこから学ぶことがなければこの世に降り掛かる全ての事象には意味が無い。猿みたいに喚き続けてれば誰かが助けてくれた? わたしがしたみたいに。
誰かが抱き締めてくれた? 誰かがわたしの涙を拭いてくれた? 誰かが慰めてくれた? 誰かが声をかけてくれた? 誰かが理解してくれた?

わたしにとって対個人に対して感情表現をするということは排泄行為を人に見せるのと大差ない。みっともないし恥ずかしい。
皆がどうしてそんなにそれを出来ているのかが分からない。



と、母親にこんなようなことを話したら、「人間ってもっと動物的なのよ」と言われた。
「悲しいときは泣くし楽しいときは笑う、黒澤はもっと自分の感情に素直でいい」と。

調剤薬局みたいに沢山の薬箱と色んな病に適応出来る薬を持ってる黒澤には沢山の病人が集まるよね。その人たちは黒澤が辛い思いした経験の中から一生懸命集めた知識を『しんどいから薬ちょうだい』って来るよね。黒澤は自分も自分がひとにしてきたように誰かにして欲しいけど痛がるより先に自分で治癒しようとするよね、それはもうめちゃめちゃ冷静に。だから痛んでなくて平気そうに見えるんじゃない? 周りからしてみれば」


もっと表面化した心が欲しいなと思った。
感情を発露しても恥ずかしくないと思える相手が。
今みたいに薬を飲みながら優しい音楽聴いてるときみたいに、ただぼうっと自分の話を聞いてくれる、安心出来る相手が欲しかったなと思った。

わたしが一人で生きていこうなんて決意する前に。
一人とか孤独に耐え忍ぶ術を覚える前に、本当の友達が欲しかった。たった一人でもいいから、わたしの、わたしだけの味方が。

間違ってるなら教えて欲しい。
わたしがそぐわない意見を主張しているなら、それについて話し合いたい。きっとわたしはわたしの言い分もあるから。

どうして皆わたしから逃げるの。
ただ、真っ直ぐにわたしに向かって走って来て欲しい。
愚直なほど真っ直ぐ向かい合って欲しかっただけなのに。



「先生、今日は聞きたいことがあります。

自分の人生の中で自分以上に模範になる人間っていると思いますか?
自分の中ではいつも自分しか正しくないと思いませんか?
何もかもが馬鹿馬鹿しく見えたこととか、絶望したときに、貴方はどう立ち上がりましたか?

先生、わたしがおかしいんですか?
わたしの生き方は病的ですか?
わたしは何て言う病気なの?

貴方はその無機質な顔で、そのカルテにわたしの何を書いてるんですか?

先生、わたしの中身は空っぽです。ひたすらに虚無です。

偉そうな講釈ばかり垂れているのに、自分の中に何もないそれに気付いた瞬間、何だかもう正気じゃいられなくなりました。

いつも冷たいわたしは、いつもひとを、誰のことも信じられないわたしは、いつもひとと同じものを見られないわたしは、これから死ぬまで孤独なんでしょうか?

色々ネットで調べたんです、精神疾患のこと。でも何の病気も当てはまりませんでした。躁鬱も境界性人格障害反社会性人格障害も作為妄想も、何も当てはまりませんでした。

はみ出した中ですら何も当てはまらないわたしは何者なんですか。

先生、わたしには皆と同じものが欲しいです。皆と同じ形の何かが欲しいです。

何て薬を飲めばいいですか?
これ以上どう痛めば何を許されますか?

先生、わたしは孤独に慣れた顔をして、一人を寂しいと感じる自分のことを許せないんです。
これ以上どう自分を律せばいいですか?

先生、教えてください。貴方なら分かると信じて今日此処に来てるんです。

自分ではもう考えるだけ考えました。


先生、わたしはどうしても答えが欲しいんです。」




本当のこと、確かめに行こう。


それでもう、全部終わりにしよう。